新卒1年目で「もう転職したい」と思う人は少なくありません。しかし、「やっぱり厳しいのでは?」と不安に感じる方も多いでしょう。確かに社会人経験が浅く、新卒枠でも中途枠でも選考で不利になりやすいため、簡単ではないのが現実です。ただし、理由や進め方次第では、キャリアのチャンスに変えることも可能です。
この記事では、新卒1年目の転職が厳しいと言われる理由から、転職すべき場合・避けるべき場合、さらに成功のポイントまで詳しく解説します。この記事を通して、自分に合った選択を見極め、後悔しないキャリアの一歩を踏み出しましょう!
目次
新卒1年目の転職は厳しい?
新卒1年目での転職は「厳しい」と言われることが多いですが、なぜそう感じられるのかを知ることで対策が見えてきます。ここでは、その理由について詳しく解説していきます。
1.早期退職を懸念される
新卒1年目での転職を考える際、企業から「またすぐに辞めるのではないか」と早期退職を懸念されることが多いです。これは、採用時に企業が教育コストや時間をかけて新人研修を行った労力を無駄にしたくないという心理によるものです。
そのため、1年以上働いて実績を積んできた人材と比較すると、評価されにくくなる傾向があります。さらに、新卒1年目で転職を繰り返すと「忍耐力や責任感に欠ける」というネガティブなイメージを持たれるリスクも高まります。早期退職が正当な理由である場合は、それを分かりやすく説明できることが重要です。
2.社会人経験が浅い
新卒1年目での転職が厳しい理由の一つに、社会人経験が浅いため、即戦力として見なされにくい点が挙げられます。多くの企業は中途採用において、一定の業務経験や知識を求めており、それが採用基準として考えられるからです。そのため、一から教えなければならない未経験者よりも、ある程度のスキルを持った第二新卒や経験者が優先されがちです。
また、社会人としての基本的なマナーやスキルがまだ十分に身についていない場合、面接でネガティブな印象を与える可能性もあります。このような状況を考慮し、自分の強みやポテンシャルをしっかりアピールすることが大切です。
3.新卒枠での応募ができない
新卒1年目で転職を考えた場合、新卒枠として応募することが難しくなります。新卒採用は通常、未経験でもポテンシャルを期待して採用する仕組みですが、一度社会に出た人は「中途採用」の枠組みで選考されます。この場合、未経験の分野に挑戦したいと思っても、他の経験者と競争する必要があり、不利になることがあります。
また、新卒枠は大学や専門学校を卒業したタイミングの学生が対象となるケースが多いため、卒業後に1年以上経過していると応募資格がないこともあります。そのため、自分に合ったポジションや応募条件を慎重に見極めることが重要です。
新卒1年目の転職理由とは
新卒1年目での転職には、さまざまな理由が存在します。ここでは主な理由として挙げられる5つのポイントを箇条書きで紹介します。
- 職場の人間関係が悪い
- 長時間労働・休日への不満
- 仕事内容が合わない
- 求人内容と現実が違うと感じた
- 給与が低い
「職場の人間関係が悪い」との回答が1位となっており、三分の一以上の人がこれを理由に転職を検討していることが分かります。職場で良好な人間関係を築けないと、業務へのモチベーションや心理的負担が増加し、退職を選択する理由になるケースがあります。
次に「長時間労働や休日への不満」が続きます。プライベートとのバランスが取れない働き方に不満を抱き、より労働条件の良い環境を求める人が多いようです。
また、「仕事内容が合わない」という理由も一定数見られます。これには、自分のスキルや興味と業務内容のミスマッチが挙げられ、特に新卒での入社時に現実と理想のギャップを埋められなかった場合によく見られる傾向です。
さらに、「求人内容と現実が違う」という理由は、求人票や面接での情報と実際の労働環境や業務内容に差がある場合に起こります。不信感が転職のきっかけとなることが多いです。
「給与が低い」との理由も挙がっています。生活の基盤となる収入が想定より低い場合、キャリアアップや生活改善を求めて転職する人もいます。このように、新卒1年目での転職理由にはさまざまな要因が絡み合っており、個々の価値観や環境に大きく左右されることが分かります。

新卒1年目で転職する割合
厚生労働省が発表した「新規大卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)」によると、新卒1年目で会社を辞める割合は14.1%という数字が示されています。
このデータからもわかるように、新卒1年目での転職は決して珍しいことではありません。この傾向は、就職後のミスマッチや仕事への不安、適性に気付くことから起こる場合が多いです。
また、転職市場においては1年目の早期離職者は「第二新卒」として扱われ、未経験の領域にも挑戦しやすいケースが増えています。
ただし、早期離職が企業側から厳しい目を向けられる場合もあるため、しっかりとした転職活動やエージェントの活用がおすすめです。仕事への納得感を得るためにも、自分のキャリアを長期的な視点で考えることが大切です。
新卒1年目で転職をしても良い場合
新卒1年目での転職は厳しいと考えられがちですが、状況によっては転職が最善の選択肢となる場合もあります。ここでは、新卒1年目で転職を検討しても良いケースについて詳しく解説します。
1.労働環境が悪い
労働環境が劣悪な場合は、新卒1年目であっても転職を考えるべきです。具体的には長時間労働が常態化していたり、休日が十分に確保されていなかったりする場合が挙げられます。
働きすぎにより体調を崩してしまっては、今後のキャリアにも大きな影響が出かねません。そのため、無理に現職を続けるよりも、より健全な環境を提供してくれる会社を探す方が有益な選択となります。
特に転職エージェントを活用すれば、未経験や第二新卒を対象とした求人が見つかるため、安心して転職活動を進められることでしょう。
2.理想のキャリアの実現ができない環境
入社当初に描いていたキャリアプランが実現できない環境であれば、早期の転職を検討することは合理的です。例えば、自分のスキルを活かせる仕事を任される予定だったのが実現していない場合や、希望していた成長機会が提供されない場合などが該当します。
特に新卒1年目は将来のキャリアの土台を築く重要な時期です。その時間を適切に活用するため、現職がその目標達成の妨げになるのであれば、新しい職場を探すことを考えるのも一つの選択肢です。
3.会社の経営状態が悪化している
会社の経営状態が悪化し、将来の安定性に不安を感じる場合も、新卒1年目での転職を検討する理由になります。例えば、売上が大幅に減少していたり、同僚のリストラが進んでいる状況などは、先行きが不透明で不安材料が多いと言えます。
特に新卒1年目はキャリア形成のスタート地点であり、不安定な環境に留まるよりも、将来性のある企業で働いた方が長期的に良い結果につながることが多いです。
こうした状況では、早めに動き出すことが重要であり、転職活動を早期に開始することでより良い選択肢を見つけやすくなるでしょう。

新卒1年目で転職をしない方が良い場合
新卒1年目での転職は慎重な判断が求められます。ここでは、転職を控えるべき場面について具体的に解説し、転職を考える前に確認すべきポイントを整理します。
1.成果が出せず転職したいと思っている
新卒1年目は、仕事に慣れるまで時間がかかることが一般的です。成果が思うように出せないことで転職を考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、成果が出るまでのプロセスがどのように進んでいるのかを振り返ることが重要です。この時期に転職を選ぶと、次の環境でも同じ悩みに直面する可能性があります。
また、短期間で仕事を辞めると、履歴書に短期在籍が目立ち、「仕事をやりきる力がない」と印象付けられるリスクもあります。慎重に状況を見極め、自身の成長のために努力を重ねる意思が重要です。
2.やりたい仕事を任せてもらえない
新卒1年目では、希望していた仕事をすぐに任せてもらえないことは珍しくありません。企業側としては、新人に十分なスキルと経験が身に付くまで、基礎的な業務に取り組んでもらう方針をとる場合が多いのです。
焦って転職を選んでしまうと、せっかく身に付けた基礎的なスキルや適応力が伸びる前に職場を離れてしまうことになり、キャリア形成の面での損失にもつながりかねません。
まずは現在の職場で信頼を獲得し、他の仕事に挑戦させてもらう機会を待つことが、長期的な視点では有効です。
3.やりたい仕事が変わった
1年目の経験を経て、「やりたい仕事が変わった」と感じることもあります。しかし、目の前の仕事に本格的に携わる前に判断を下してしまうと、自分の適性や本当に好きなことを深く理解する機会を失ってしまうかもしれません。
また、企業の中で異動やキャリアチェンジが可能な場合も多いため、転職の前に会社内で解決策を探ることをおすすめします。自分にとっての「やりたい仕事」と向き合いながら、長期的な視点でキャリアを形成することが、新卒1年目の大切なポイントです。
新卒1年目の転職を成功させるポイント
ここでは、新卒1年目での転職を成功させるために必要なポイントについて解説します。転職活動の不安を軽減し、自分に合った職場を見つけるための具体的な方法を以下でご紹介します。
1.就活と転職活動は別物であると考える
新卒1年目で転職を考えている方の中には、就職活動と転職活動を混同してしまう人も少なくありません。しかし、両者は全く別のプロセスです。新卒採用はポテンシャル重視であり、将来の成長が評価されやすいのに対して、転職活動では即戦力や実務経験が求められることが多いです。
このため、「未経験でも評価される時期はすでに過ぎた」という認識を持ち、転職活動では自分のできることを明確にアピールすることが重要です。
例えば、1年間で学んだスキルや仕事を通じて得た経験をしっかりと整理し、企業側に提示する準備を整えましょう。また、企業ごとの求める人材を理解し、具体的な貢献方法を伝えることが成功の鍵と言えます。
2.条件ばかりを求めない
転職を考える際、条件面ばかりを重視してしまうと、思わぬミスマッチを引き起こす可能性があります。給料や福利厚生といった条件はもちろん大切ですが、それだけで判断するのではなく、自分が成長できる環境や、自分の価値観に合った社風を見極めることが重要です。
例えば、「残業が少なく仕事が楽そう」という理由だけで転職すると、スキルが身につかず将来のキャリアに悪影響を与えるかもしれません。
条件にばかり目を向けるのではなく、自分に足りないスキルを補い、長期的にキャリアを積み上げていける職場環境を探すことがおすすめです。このように、自分の将来を見据えた転職を心がけることで、結果的に満足度の高いキャリアを築くことができるでしょう。
3.転職エージェントを活用する
新卒1年目での転職活動に不安がある場合、転職エージェントを活用するのはおすすめの方法です。転職エージェントは、履歴書や職務経歴書の添削、適切な求人の紹介、面接対策など、転職活動のあらゆる段階で充実したサポートを提供してくれます。
また、新卒1年目の転職においては「経験不足」や「市場価値」に対する不安を感じる方も多いですが、エージェントはあなたの強みや魅力を引き出し、企業に効果的にアピールする方法を具体的にアドバイスしてくれます。
さらに、未経験でも応募しやすい求人の紹介も得意としており、選択肢の幅が広がるのも大きな魅力です。初めての転職はどうしても分からないことが多いですが、専門家の力を借りれば、転職活動をスムーズに進めることが可能です。

新卒1年目の転職が厳しいのかに関するよくある質問
新卒1年目での転職について悩む人も多いのではないでしょうか。ここでは、多く寄せられる質問をもとに、新卒1年目における転職に関する実態や気をつけるべき点について解説していきます。
新卒で1年で辞める割合は?
新卒1年目で転職を考える人がどの程度いるのか、具体的な割合が気になる方も多いでしょう。実際、厚生労働省が発表したデータによると、新卒で就職した人のうち1年以内に離職する割合は大卒者全体の14.1%です。
およそ7人に1人が1年以内に退職していることになります。このことから、新卒1年目の転職は珍しいことではありません。ただし、退職理由やその後のキャリア計画をしっかり考える必要があります。詳しくはこちらをご確認ください。
転職で一番しんどい時期はいつですか?
転職活動で精神的、体力的な負担を感じるのは主に「応募から面接を繰り返す時期」です。この時期は応募先企業の選定や履歴書、職務経歴書の作成、さらに面接対策と非常にやるべきことが多く、外部からの評価を受け続けるストレスに悩む人も多い傾向があります。
また、在職中に転職活動を行う場合、仕事との両立でさらに忙しくなることも。エージェントを利用することで、この負担を軽減するのもおすすめです。
新卒1年目で辞めるデメリットは?
新卒1年目で転職をする際に直面するデメリットの一つは、「社会人としての基礎が身についていない」という評価がされやすい点です。企業側は、短期間での離職を「すぐ辞める可能性がある」と懸念することが多いです。
また、経験やスキルがまだ浅いため、希望条件を低めに設定せざるを得ないケースもあります。その結果として年収が下がるリスクもあります。ただし、適切な準備と明確な理由があれば、評価を覆すチャンスもあります。
新卒で1年目で辞める理由は何ですか?
退職理由には様々なものがありますが、代表的なものとして以下が挙げられます。「職場の人間関係が悪い」「長時間労働や休日取得が困難」「業務内容が自身に合わない」「求人内容と現実のギャップ」「給与が低い」などです。
これらの理由は個人の価値観や状況に左右されることが多いため、自身にとって転職が最善の解決策であるかどうかを冷静に考えることが重要です。
新卒何年で辞める人が多い?
新卒の離職率を年次ごとに見ると、最初の3年以内に辞める人が多いと言われています。厚生労働省のデータによると、大卒者の3年以内の離職率は約30%に達するとのことです。この背景には、人間関係や仕事内容、労働条件への不満などがあると考えられます。
特に新卒1年目で辞める場合は社会人経験が浅いため、転職活動には慎重な準備と自己分析が重要です。転職エージェントから専門的なサポートを受けるのもおすすめです。
参考データ:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)」
まとめ
新卒1年目の転職が厳しいと言われる理由は、企業側が抱く早期退職への懸念や、社会人経験の浅さ、新卒枠での応募ができないことなどが挙げられます。
ただし、厳しいからといって可能性がないわけではありません。例えば労働環境が悪い場合や、自分の理想のキャリアを実現するためのステップとして転職を考えることも適切です。一方で、ネガティブな理由だけでの転職や短期的な感情による判断は後悔の元になる場合もあります。
転職活動においては、就職活動とは異なる視点が求められるため、転職エージェントを活用しつつ冷静に状況を分析することが大切です。新卒1年目だからこそ得られる柔軟性を活かし、長期的なキャリアプランを見据えた選択を心がけましょう。